南部再生第18号:もくじ
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ICHIBA CALLING

第2回 杭瀬市場

百戦錬磨の客が親子3代で店主を鍛え上げる

 「アマでいっちゃん元気な市場ゆうたら杭瀬やで!」そんな話を聞き、杭瀬市場へ。時刻は午後1時。「こんな時間にお客さんおるんやろか…」そんな心配をよそに、店主の威勢の良い呼び込みを次々と浴びせられる。杭瀬市場は、噂通りのにぎやかさで出迎えてくれた。まちの小売市場がその姿を消しつつある中で、なぜこれだけのお客さんの心をつかみ続けることができるのか。

(右上)鰹節などを扱う新谷商店はシャイな奥さんが一人で切り盛りする。顔写真は残念ながらNG。(右下)焼肉するならここ!のお肉屋、サンセイのご主人は若き組合理事長。(左下)杭瀬市場について熱く語ってくれた宮島庵の宮島社長 (左上)うな忠は取材中も、客足は一度も途絶えず。

 「焼肉用にはこっちのお店。すき焼きにはあのお店。肉屋も使い分けるんやで。」という常連客。戦後尼崎で最初の復興以来、杭瀬市場は百戦錬磨のアマのおばちゃんに鍛えられてきた。かつてこの辺りは、ダンスホールや映画館が立ち並ぶ阪神間随一の繁華街だったというが、「昔は良かったんやけどなあ」と遠くを見つめる店主はいない。

 市場を歩いていると、お年寄りだけではなく若い子ども連れ客が多いことに気がついた。最近の市場ではなかなか見られない光景だ。昔親に連れられてこの市場へ来ていた子どもが成長し、今度は自分が子どもを連れて買い物へ来ているのだという。安くてええもんへの「こだわり」は、こうして受け継がれていくのだろう。

 客の「こだわり」を裏切らないことが店主たちの役目。宮島庵の「近松豆腐・湯葉豆腐」は国産大豆、天然にがりと素材にとことんこだわった。「第2回メイドインアマガサキ・コンペ」でグランプリを獲得した逸品だ。市場だけでなく、ホームページでの情報発信にも積極的だ。

 店主一人ひとりがプロとしての自覚、自分の店や商品に自信を持っている。市場をあげてのイベントや大売出しもいいが、市場自体が毎日イベントのようなもの。安くて新鮮なのも、杭瀬だったら当たり前!そんな客の期待を一心に背負い、店主たちは今日も誇り高く市場に立つ。

memo
杭瀬市場は4つの組合が集まるエリア。杭瀬市場協同組合、中市場協同組合、杭瀬中市場組合、北市場協同組合。今回は便宜上、それらを総称して「杭瀬市場」と呼んだが、それぞれに特色あるお店と「仕掛け」が我々を待っている。

北條美代●ほうじょう みよ
1985年生まれ。大阪府茨木市で太陽の塔を眺めながら育った大学生