南部再生第18号:もくじ
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バスでGO!

 通勤・通学、買い物に病院通い。それだけじゃもったいない、バスの使い道。尼崎市内を走るオモロ路線をピックアップ。市民の足は200円でこんなに楽しい。

環状バス

毎日同じ時間のバスに乗るため、乗客同士みな顔見知りに

 「ちゃうちゃう、そっちは浜廻りやで」と乗客たち。運転手さんも「あ、しもた。間違えた」とご愛嬌。阪神出屋敷発、阪神出屋敷行きの市バス80番は、大庄地区をぐるりと廻るループバス。西の武庫川駅までの区間を、右回りと左回りで運行する「大庄環状線」だ。

 西日が車内にさし込む午後4時。三和商店街で買い物をすませたシニアたちが家路を急ぐ。隣り合う客同士の世間話。降りる人が誰に言うでもなく「ほなさいなら」という姿が下町情緒を感じさせる。

 武庫川駅到着後は、国道43号線の南、元浜から工業地帯へと抜ける。まだ終業時間前のせいか、車内には工業空間好きの筆者一人。車窓には送電線、パイプ、運河…テクノスケープがお出迎え。「おお、住友チタニウムが見える」などと思わずつぶやいてしまった。

 下町と工業地帯。これぞアマなまちなかをぐるりと廻る所要時間は約30分。時間と気持ちにゆとりのある時にはぜひどうぞ。

潮風バス

道路に架かる住友金属のパイプが港へのゲートがわり

 阪神尼崎駅から五合橋筋を南へ。埋め立てながら拡大を続ける、工都の足跡をたどる道だ。「らしい」風景は、国道43号線を過ぎたあたりから。日本で初めて板ガラスの工業化に成功した旭硝子、埋め立て地を丸ごと占めるほどの規模を誇る住友金属。その先には、尼崎に2つしかない可動橋のひとつ、東高州橋やパナマ運河式の水門「尼ロック」といった港湾施設…。車窓の風景はさまざまだが、その所要時間、わずか10分程度。意外とあっけなく通り過ぎてしまう。天気がいい日は終点近くの公園で潮風に吹かれながら行き交う船を見るのもいい。けど、そんな気がなければ、ただの色気がない路線かも。

越境バス

 三宮の南、始発の神戸税関前から阪神バスに乗り込む。目指すは阪神尼崎。かつて阪神電鉄国道線も走った「ルート2」を東へ一直線。三宮から住吉あたりまでは何度か乗ったことがあるが、その先は未体験ゾーン。

 東灘と芦屋の境界あたりから、車窓の風景がぐっと変わる。カフェだ輸入雑貨だ高級園芸店だと、芦屋マダムな店の数々。有名洋菓子店の宮殿みたいな建物から出てきたのは、おおっロールスロイス!ここどこだ?

武庫大橋をわたって尼崎へ。安さを求めて、奥さまたちは越境する

 西宮のラーメン街道を過ぎ、武庫大橋を渡るといよいよ尼崎。自転車で風を切るおばさん、ジョギングのおじさん。越境はかくもあっけない日常の一コマ。

 沿道の看板がいちいち濃い。スナック「ほらふき村」にラブホテル「べんきょう部屋」。何を勉強するというのか。居酒屋「山原(ヤンバル)くいな」の数十m先に「味処えぞ」。ああ、なんて多文化なまち。ふと隣の車を見下ろすと、若いお兄ちゃんが上半身裸でご機嫌ドライブ中。

 1時間半の小旅行。退屈な日常にカツを入れる車窓絵巻である。

【市バスな小ネタ】
終着まぎわの名曲は浪花のモーツァルト渾身の力作だった!

「またのご利用お待ちしています」のアナウンスとともに、終点間際の市バスの車内にやさしく流れるBGM。実はこれ、尼崎市制70周年を機に、キダタロー先生が作曲した「ああ尼崎市民家族」の一小節なんです。デュークエイセスが「あ〜まがさき〜の」と歌い上げてます。