外国人もマナブ

教える方も、習う方も。日本語を通して、たがいにマナブ

日本語よみかき学級
夜の中央公民館。中国、フィリピン、韓国、ネパール、ブラジル、イタリア、アルゼンチン…世界各国の人々が教室に集まる。ちょっとした国際会議のようだ。

訪れたのは「日本語よみかき学級」。仕事や夕飯の準備をすませた在日外国人が日本語を習うための講座である。在日外国人の割合が約2.8パーセントという尼崎では、市が約10年前から大庄、中央、小田、園田など各地の公民館で日本語講座を開いている。

今年70歳になるイユン・チアンシさん(下写真・左)は15年前、日本人男性との大恋愛の末、韓国から来日した。この学級に通い始めたのは67歳だった2年前。「話すのはうまくなってきたから、次はひらがなや漢字を覚えようと思って…」。手には電子辞書、机には書き取り練習用のジャポニカ学習帳が開かれている。

イユンさんを担当するアシスタントの本田英子さん(63)は「本当にいい刺激になります。私もスペイン語の勉強を始めたんですが、彼女の頑張りを見て負けられないなって」。同年代の2人のやりとりは、教師と生徒という関係を感じさせない。単に日本語を教える/習うのではなく、お互いが学ぶ場所だという。

学級は、日本に来て2~3日のまったくコミュニケーションが取れない人も受け入れている。

フィリピン出身の川村チョーナさん(23・写真上)は15歳のとき、母親が日本人と再婚して来日した。すぐに工場で働き始めたが、「上司が言っていることが全然分からないから、仕事にならなかったですよ」と当時を振り返る。

高校に通って勉強したかったが経済的に難しく、この学級を紹介された。現在は結婚して市内でショットバーを切り盛りする。「お客さん相手の仕事だから、言葉に込められた人の気持ちが分かるようになりたい」と川村さん。次の目標は日本語検定2級だという。

長く続けられるアシスタントを

指導役のアシスタントは毎年4月、市の広報誌で募集するとたくさん集まるが、実働メンバーは結局30人足らずに。マンツーマン指導にはまだまだ足りない。「長く続けられる人を」と代表の近藤薫さんは話している。お問い合わせは中央公民館。電話 06-6482-1750