花嫁修業に行ってきました。花婿4ヵ月ライター ツナモトの潜入取材

床の間を彩る華、客人をもてなすお茶—つつましく、品のある家庭を演出するお華とお茶は、古くから花嫁修業の必須科目だ。最近流行りのフラワーアレンジメント、ハーブティー教室といった欧米スタイルとはひと味違う、和のココロ。ハナムコや、かつてのハナヨメも習いたい、二つの教室にお邪魔した。

華道

一度活けた花は新聞紙でくるんで持ち帰り、家でもう一度再現して体得するという。

ドアを開けると、生花のすがすがしい香りが。お弟子さんの一人で近所で銭湯を営む岡野さんは、田中静甫先生(写真右)のお母さんの代から通う、この道20年のベテラン。「花をさわらない日は落ち着かないんですよ」。花を飾るからにはまわりをきれいにしつらえるようになるし、店に飾る花も好評だというから趣味と実益を兼ねている。

普段の稽古は、1時間程度。花器と花のバランスや全体のボリュームなどを必要に応じてアドバイスしてもらえる。「決まった形はありますが、それぞれ生ける人によってその人の個性が表されるところが、いけばなの魅力です」。そういえば、この教室はイスとテーブル。手元に集中するための配慮だ。

田中嵯峨御流いけばな教室

金曜または土曜日開講(月3回)。通う回数や時間帯(13時~22時)が選べる。
電話 06-6499-7852

茶道

指導は厳しいが、雰囲気は和気あいあい。若いお弟子さんは仕事帰りが多い。

お茶の作法は、動作と順序が厳格に決まっており、「手はもう少し上へ」「体は前へ」と、動きすべてに先生の指導が入り、他ではちょっと味わえない緊張感がある。

お茶を知りたい、普段でも着物を着たい、そして花嫁修業…と、参加の動機は人それぞれだ。

ハーレー乗りが趣味という田村さんは「オンナを磨くために」入門したお弟子さん。「複雑な動きでも、何年か続けると無意識に体が反応するようになる。その手ごたえが楽しい」と満足げ。初釜、炉開きなど、成果披露の場の存在も大きいそうだ。

稲村宗啓先生(写真中)は「茶道は厳しいと思われがちだが、季節を感じられる総合芸術。若い人が関心を持ってくれるのは嬉しい」。

取材日は春の訪れを知らせる、二十四節気の雨水。梅を使った鶯のお茶菓子が出されていた。

裏千家宗啓会

金曜または土曜日開講(月3回)。通う回数や時間帯(13時~21時)が選べる。
電話 06-6421-0403