杭瀬を感じる第1歩 住まう

杭瀬で3LDKで600万円台の中古マンションがある。しかもマンションなのに2階建てのメゾネットタイプ。数千万円する高嶺の花と思っていただけに、思わず飛びついてしまう額である。とにかく物件が見たい。

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まずは不動産屋に電話

杭瀬の不動産屋にかたっぱしから電話をかけた。「杭瀬団地が見たいんですが…」。しかし返事は「すでに売れた」「見せられない」。現在もお住まいで、買い手がついたら出るという物件が多く、すぐに内覧、入居できるような状態のいい物件は、即売れてしまうのだそう。ますます見てみたい…。

建物の配置にゆとりがあり、30年以上の歳月を経て大きく育った緑も魅力。
無理な取材のお願いにも快く応じてくれた万野さんご夫妻。

メゾネットの魅力

不動産屋がダメなら知り合いのツテを頼って。無理をお願いして、杭瀬団地7号棟にお住まいの万野さん宅にお邪魔した。一見普通の玄関を入ると、中には2階へ続く階段が。居間や台所などの共用部分は下層階、プライバシー性の高い個室を上層階に配置してあるメゾネット型。かっこいい!

これがメゾネット構造だ

フランス語で「小さな家」という意味のメゾネット構造。通常のマンションと違って一戸建て気分を味わえるのが魅力。最近流行りのデザイナーズマンションなどでも多く採用されている。杭瀬団地の先駆性が感じられる。(図面は兵庫県住宅供給公社提供)

上層階(2階部分)
下層階(1階玄関)

杭瀬ライフを満喫

万野さん一家は、団地の完成と同時に昭和42年10月に入居した。少し変わったメゾネット構造。「子供が小さい頃は、下の居間で遊ばせておいて、私たちは上で休むこともできました。」足が弱くなったら不便だろうと苦笑するが、杭瀬団地に住むことで得られるメリットの方が大きいという。「とにかく物価が安くて住みやすい」と奥さんの喬子さんは言う。団地のすぐ南側には杭瀬市場があり、窓を開けると呼び込みの声が聞こえる。

サラリーマンの憧れ

売り出し当初のうたい文句は「大阪10分、神戸30分」。2つの大都市に至便な立地と、1,300戸という桁違いの規模、画期的だったメゾネットタイプの間取り…。モダンで機能的な暮らしを求めるサラリーマンたちの憧れだったそうだ。それから35年。現在は65歳以上の住民が7割を越えるという。団地の各棟では、高齢者世帯のためにエレベーター設置も検討中だとか。

園田橋線という大きな通りに面しているが、騒々しい印象はない。学校帰りの子供たちがにぎやかに通り、買い物帰りのお年寄りもゆっくりと歩いている。まさに閑静そのもの。駐車場と駐輪場もきれいに使われており、不動産屋から聞いた「すぐ売れるんですわ」という話を思い出した。