ノスタルジック・アマ 路面電車の情景

こっそり侵入、その中には…

蓬川公園にひっそりとたたずむ路面電車。きれいな運動遊具とのコントラストに趣きが

これは阪神国道(国道2号線)を走っていた路面電車(阪神電鉄軌道線)。昭和50年に廃止されたものを保存したらしい。私の知る限り水明公園にも同じ電車が展示されてある。

私は蓬川公園の前に生まれてからずっと住んでいるのでこのフェンスで囲まれた電車にはなじみがある。物心ついた時から公園にはその電車があった。小学生の頃はここのフェンスにボールを当てて遊んだり、このフェンスの陰に隠れて缶けりをやったりした。そのせいで青いフェンスは今も少し内側にへこんでいる。(現在は写真で見るように電車の前はストレッチ運動用の遊具が設置してあり、またガーデニングがなされているのでボール遊びはできなくなっているが。)

ボールがフェンスの中に入ったりしてこっそりと侵入したことを除けば、一度だけ電車内に入ったことがある。確か地区内の児童の集まりをやったはずだ。中にはいるとじゅうたんがしいてあり本棚があったことを覚えている。そこでお菓子を頂いた。現在でも自治会や老人会などの集会場に使われているようである。

30代以上の人で国道沿線に住む人は阪神国道に走る路面電車の情景を懐かしく感じると思うが、私たちの世代にとってはこの電車の前で遊んだことがもはや思い出になっている。交通の便が悪い尼崎の南北に今再び路面電車を走らせる構想があるみたいだが、果たして路面電車が復活する日はくるのだろうか。

なお蓬川公園の隣にはには通称「クボタプール」といわれる、夏休みにだけ開放されるプールがあった。子供たちは配給される券と引き換えにそこのプールで遊んだが、震災でプールにひびが入ってしまいそれ以来使えなくなってしまってらしいのはまことに残念である。


金田 剛毅(かねだ ごうき)
1978年尼崎市関西労災病院生まれ。以来ずっと崇徳院在住。小・中は地元の学校に通い現在、関西学院大学大学院総合政策研究科所属