nanbu walker 第8回 臨海地域の楽しみ

アマに住んでいても普段はあまり行く機会のない臨海地域の楽しみ方を提案していこう。尼崎南部臨海地域を歩いて発見した緑や観光、ちょっと変わったスポットを紹介するマップを作ります。第1回目は武庫川、元浜エリア。阪神武庫川駅から結構ディープなエリアを探索しました。

伝承あり伝統あり。これが下町人間の素顔がここにはある

武庫川。私はこのゆったりとした川の流れゆくままに上流の三田から足を運び、ここまで来た…。10月12日に行われたnanbuwalk。伝統的な下町の景観を残す尼崎市南部の巨大地図を作りあげる壮大なプロジェクトのフィールドワークである。今回、阪神武庫川駅周辺を歩くグループに、私は参加した。

駅を降りて海の方に歩くと、すぐに大木と出会う。この楠のお腹のあたりに大きなコブがあるが、このふくらみが見方によっては妊婦さんのお腹のようにも見える。それ故「安産祈願の木」と呼ばれていた。木陰には将棋や麻雀にいそしむ地元の人々。ここが下町らしい。

地域から愛される大木。地元の人はクスノキさんと呼ぶ
お好み焼きが焼ける鉄板をカウンターに、下町グルメを支える名店パンダ。

川を背に、線路に沿って歩いた。線路沿いに小さな花がたくさん咲いていた。ここの商店街の方々が植えたらしい。小さな気配り、花のように大きく開け。そして、何軒かのたこ焼き屋に「野菜焼き」のメニューがあった。かつて「一銭洋食」と呼ばれていたそれは、キャベツの千切りのみのお好み焼きのようなものである。時代の変遷とともに姿を消しつつあるが、ここ尼崎にはまだあった。伝統を感じる。

市場も歩いた。しかし、ここには伝統は残っていなかった。現実の世を具現していた。ひとつひとつに着目すれば武庫川駅周辺だけでもこれだけの「顔」を見ることができる。人間の素顔をのぞくことができる。それがここにはある。尼崎、もっと知りたくなった。


大島 一晃(おおしま かずあき)
1982年年千葉県白井市生まれ。関西学院大学総合政策学部2年生。田舎・下町に興味があります。