いちどやったらやめられない。がんばれ!NPO

何の略かはわからなくても、どこかでNPOという言葉は見聞きしたことがあるはず。でもそこで働く人たちって会ったことあります?

会社でなくNPOという新しいワークスタイル。倫理観やイデオロギーに基づく使命感なんてものもそりゃあるでしょうが、みんなもっと色んな事情があってもいいはず…と思ったので聞いてみました。

「なんでNPOをしてるんですか?」

スタッフ二人で【アップストリーム 障がい者支援センター】

NPO創設コンビの松岡さん(左)と金城さん(右)

尼崎に生まれ育った松岡孝司さん(48)。大学卒業後、設備会社の営業で10年間勤めた。「妻が病気で障害を抱えることになって、作業所やリハビリに付き添うようになりました」

それで会社を辞め、知的障害者の作業所職員に転身。収入は半分に。新しい職場では自分の仕事が確実に誰かにいい影響を与えている、営業ではなかなか味わえなかった気持ちだと松岡さんは言う。

転身から独立

現場で経験を積むにつれ障害者福祉の矛盾を感じるようになった。「現状は障害者がのぞむサービスが提供されていない」。転身から3年後の1999年、心身障害者の生活と労働を支援する「アップストリーム作業所」を尼崎市に設立。介護人派遣やカウンセリングとリサイクル福祉機器・自転車の修理販売をはじめた。

これまでと変わりなく

通所者もスタッフも机を並べて一緒にアップストリームを支えている

NPO法人格の取得は障害者福祉制度が変更されるため。2003年4月から障害者は県の指定する事業所を通さないと介護サービスが受けられなくなる。アップストリームへ通う人が変わりなくサービスを受けるためには、県の指定を受けないといけない。それにはまず法人格を取得しなければと2002年6月にNPO法人認証を受けた。

気持ちがじかに伝わる

通所者が今までできなかったことをできるようになった。家にこもりがちだったが、週に3回は外出するようになった。「自分が関わった人がよい方向に変わった。NPOを設立してよかったと思える瞬間ですね」と松岡さんは少し照れる。作業所でリサイクル自転車事業を担当する金城三生さんも同じ気持ちだ。大手企業の工場で働いていたこともあったが「相手から気持ちがじかに伝わってくる」ことにこれまでにない充実感を覚えると言う。

スタッフはこの二人だけ。送迎事業やパソコン教室など、したいことはたくさんあるが…。

NPO【Non Profit Organization】

日本語では民間非営利団体と訳される。1998年にNPO法が制定され、新たな法人格がうまれた。保険、医療・福祉、社会教育、町づくり、文化、芸術・スポーツなど12の分野の活動で、不特定多数の利益の寄与を目的とする。

アメリカでは寄付金に対する税金の優遇が実施されているが、日本ではまだないため、法改正も議論されている。制度も組織もまだまだ過渡期といえる。最近ではビジネスNPOという言葉も生まれ、企業の雇用対策やコスト削減にも設立されるケースが見られる。