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9月1日午前中。林さんと安倉さんの畑、築地の畑でいもの掘り上げをおこなった。世話人の一人、島尻紘子さんはこれまで雑草をまめに取り除き、つる上げをきちんとこなしてきた。「今年は雨が少なかった。いもが育っていなかったらどうしよう」掘り上げてみると、そんな島尻さんの不安が吹き飛んだ。林さんの畑と合わせて、段ボール箱10個分ほどのいもがとれた。 この日の午後、労働福祉会館の試食会会場に集まったのは「尼いもクラブ」メンバーを中心とした60人。少しばかり大げさな音楽とともに登場した「尼いも候補」たちに歓声があがった。8種類の尼いもをふかしいもにして試食。 「粘り気と甘みが多いといわれていたが、意外とあっさりしている」「収穫してすぐに調理するのではなく、しばらく乾燥させて甘みを出した」「市内でも土壌に差があったから、味にも違いがあったはず」 2時間近くに及んだ議論の末、尼ヶ崎赤、四十日藷、源氏の3種が尼いもだろうということに到達した。 今年の試食会を終え、「尼いもクラブ」にはまた新たな目標が生まれた。「さらに製法にこだわって、真の尼いも復活に取り組む」と意気込む人。「ふかしいもだけでなく、イモ料理に挑戦する」という声も。今後「尼いもクラブ」の活動は、さらに関わる人を増やし、それぞれの「尼いも」を求めて活動を続けていきます。 実は「尼いも」という品種はない。味がよく、土に合い、規格品が多く採れるならばと、さまざまな品種が持ち込まれた。充分に育つ前に収穫し、サツマイモというには随分細長いものだった。早く収穫したのは市場に出回る数が少なく、その分高く売れたから。尼崎で栽培したのは衰退した綿花畑の跡地を使うことを考えたから。買ってくれる人が近くにいたから。要するにいい商売をしようと、考えたから…である。 同じ場所で育てても、土が違えば味も変わる。「甘味があった」と言っても昔のこと。今感じる甘味とはほど遠いかもしれない。だから食べた経験のある人が美味くないというなら、その味を追い求めればいい。食べたことがなければ、当時に思いを馳せるのもいい。 確たる根拠がない「尼いも」を再生させるというのは、一体どういうことなんだろう。特定の品種を追い求めるわけでも、特定の方法に縛られる必要もない。手掛かりは育てていた風土、食べた人、育てた人の証言、時代背景とか…。そんな様々なこと、それぞれの価値観を確かめ、尼いもという価値観を共有するところから、再生は始まるのではないだろうか。
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