ノスタルジック・アマ 小さな小さな駄菓子屋さん

学生さんがとらえた尼崎。若い世代のノスタルジーがここにあります

築地の細い通りの中に、坂谷商店という小さな小さな駄菓子屋がある。店先にネコが転がり、おばあちゃんが奥の部屋で扇風機にあたりながらテレビを見ている。店内に並べられたお菓子に子供も大人も思わずにんまりしてしまう。

「子供の頃はよく100円玉握り締めて駄菓子屋にいったもんやわぁ」

多くの人が昔を懐かしむ時、町かどに潜む小さな駄菓子屋のあの風景を思い出せるだろう。駄菓子の“駄”は、“雑”などと同じように「大切でないもの」という意味がある。子供は大人が食べないような「大切ではない」お菓子をすごく大切にしてきた。駄菓子屋は子供のオアシス的存在であり、さらには子供が経済や社会のしくみを勉強する最初のきっかけにもなっていた。

そんな駄菓子屋は今、減少の傾向にある。大型店舗の進出・少子化・受験・経営者の高齢化… 様々な要因が絡み合う中、その渦に巻き込まれて姿を消す駄菓子屋は後を絶たない。上に挙げた坂谷商店もその一つである。区画整理に伴う家の新築により一年後には店を閉めるという。


松原 昭子(まつばら あきこ)
1979年山口市生まれ。関西学院大学総合政策学部4回生