尼いもクラブで作った発酵熱利用の苗床。踏み固めているところ/2001年(平成13)

苗の増産は温度との戦いです。
たくさんの苗を入手しようとするなら、前年の収穫で多くの種芋を収穫する必要がありますが、その種芋も5℃以下では腐ってしまうため、冷気があたらないように保温しながら保存します。無事保存ができて春を迎え、発芽を促すのもキーになるのはやはり温度。一定以上の温度下に置き、いもが休眠状態から目を覚ますようにします。尼いもクラブでは当初、絶滅する前に採られていた、牛糞、鶏糞を藁(わら)やおがくず、ぬかなどと混ぜ、自然発酵の熱を利用する伝統的な方法で苗づくりを行なっていました。これは温度調整が非常に難しいため、現在は温度調節機能のついた電熱ヒーターで代用しています。

大きくなった苗/2002年(平成14)

しかし、現在の主流は健康ないもの芽をバイオテクノロジーで培養してつくる「バイオ苗」で、病原菌が入らない健康な苗を一度に大量につくることができるため、種苗店で販売されている苗のほとんどがこの方法でつくられています。