神主のぶらり街歩き
連載第42回 研究職の外国人を探して
会社の敷地内に祀られているお稲荷さん。神職がお邪魔して、安全祈願を行うことも多く、尼崎市西高洲町にある丸山工業所さんにも毎月伺って、社員の皆さんの安全や健康、そして会社の発展を祈願している。神事終了後に、社長の丸山起世志さんとお話をさせて頂いていた時、「うちにインド人とパキスタン人が研究職で入社してん」と聞いていたので、ぶらりお邪魔してみた。
2023年11月から働き始めたという、ビスラヴィヴェクさん(インド人・29歳)とイブラールバーベルさん(パキスタン人・30歳)。ともに横浜国立大学で学び、ビスラさんは博士号を、イブラールさんは修士号をもつ優秀な研究者だ。入社のきっかけは、イブラールさんが就職活動のためアップしていたオファーボックスに、丸山社長が興味をもってアプローチしたのがきっかけで、同じ学校で学んでいたビスラさんにも声がけをして、インターンを経て二人一緒に採用された。丸山社長曰く「彼らならどんな視点をもって、どんな発想をするのか」という期待を込めた採用だったという。
イブラールさんは大学でバイオマスや排水について研究していたため、丸山工業所でのガラスの表面加工については「勉強の段階」と謙遜するが、研究室で課題にぶち当たった際に、解決のアドバイスを的確に行うなど、丸山社長にとっては頼れる存在。二人とも英語で幅広い分野の論文を読み込むことができるので、その賢さに「他に5名ほどいる日本人研究者は焦っているのでは?」(丸山社長)と、相乗効果もあるようだ。
二人に50名ほどしか社員のいない丸山工業所さんで働く理由を聞いてみると、「人間関係が良いことと、大きな会社ではなかなか進まない話が、(ここでは)社長と部長が聞いてくれて、すぐに決めることができる。自分たちも新しいプロジェクトを形にするため、ヤル気に満ち溢れている」と二人が顔を見合わせて笑顔で話す。
6月には会社の慰安旅行が計画されているが、行先は社長に「どこに行きたい?」と聞かれ、二人が選んだ沖縄。入社一年半で、慰安旅行の行先を希望できるとは…、二人への期待度の高さが伺い知れる。この秋にも、彼らの大学の後輩と北海道の女子大生、ともにインド人二人が、ビスラさんのアプローチで入社予定とのこと。外国人の知能と新たな視点や発想で、丸山工業所さんの今後更なる躍進を見ることが出来そうだ。「神さん、必要ありませんわ」とだけは言わないでくださいね、社長~!
江田 政亮 えだ まさすけ
だんじり祭り、地域寄席…いつでも尼崎人にオープンなお社きふねさんの第17代宮司。「国道43号線にだんじりを走らせたい」と南部再生への想いは日々強まる。ラジオ番組「8時だヨ!神さま仏さま」の過去の放送はインターネットでお聞きいただけます。