気まぐれシェフとの静かな暮らしインド料理ガンガマハル ラモラさん
独特の色合いの店構えとスパイスの香り漂うインド・ネパール料理店は現在市内に27軒ほどを数える。そのうちの一つ、人気店経営者に話を聞いた。
オーナーのラモラさん(右)とインドから来てお店の3階で暮らすシェフのみなさん
ネパール人シェフが多数を占めるインドネパール料理店だが、武庫之荘駅の北に徒歩10分のガンガマハルでは、インド人シェフたちと日本人スタッフが働く。「みなさまのおかげ」が口癖のオーナーのラモラさんは、日本のピースなところ、コモンセンス(常識)が気に入っているという。
ドバイでシェフとして出稼ぎ中に誘いを受けて、2003年に技能ビザで来日。日本人とインド人オーナーそれぞれのもとで働き経営を学び、13年に自店をオープンした。

カレーはお好みの辛さが選べる
ともに働く4人のシェフもみなインド北部ウッタラーカンド地方出身。それぞれインドで10年ほどのシェフ経験を持つ本格派だ。インドの人の多くは英語圏へは家族を連れて移住するが、日本では言葉の壁があることから、期間限定の出稼ぎが多いとのこと。
来日20年を超えるラモラさんは、日常会話の日本語は話せるが、この日の取材ではヒンディー語ができる日本人スタッフが通訳として同席してくれた。彼女によると、インドから来たシェフたちは能力は高く仕事の覚えも早いという。ただし、いったん自分の腕前に満足すると次は手を抜いて「スキルダウンする」という不思議な傾向がある、とその愛すべき国民性を教えてくれた。そのせいか「一度店のクオリティを作り上げても、それを維持するのにとても努力がいる」とラモラさんは経営管理の難しさを語る。
武庫之荘以外にも市外に2店舗を経営する敏腕経営者だが、他のシェフたちと店の3階で暮らす倹約家。趣味は銭湯のサウナ、インド人コミュニティにも行ってみたが肌が合わず、友達はお店の常連さんと整体の先生という静かな暮らしを楽しんでいる様子。家族の暮らすインドと尼崎の二拠点生活が、ちょうど良くて満足しているという。
「健康的な食事でみんなが元気になってくれると嬉しい」とラモラさん。まだ方法は分からないけど、いつか日本とインドの架け橋になりたいと考えている。

ガンガマハル
武庫之荘4-11-1 TEL 06-6431-3006
カレーもナンも絶品。石橋と淡路にも出店するほどの人気店だ。
取材=山添杏子、立石孝裕、若狭健作 文=山添杏子