尼的観光地図(マップ)第2回【元浜町界隈】
尼崎南部を旅人気分で歩いてみた。
国道を超えるとそこには『三丁目の夕日』の世界があった。
交通量の激しい43号線を超えて、元浜町に足を踏み入れると、途端に辺りが静かになる。文化住宅、街角のタバコ屋、そびえる鉄塔…どこか昭和の香りさえ感じさせる。
ふと入口に手書きで営業時間だけを掲げる店らしきものに目が留まった。引き戸を開けると、広さ2坪ほどの店内の壁一面の棚には漫画本がぎっしり。ここは名前もない「貸本店」だった。
創業は戦前、現在3代目だという。使いこまれた本棚からも風格が滲み出る。店主の橋本順二さんは、「昔は店の前によく子供が集まって帰らなかった。最近の子供は漫画よりゲームに夢中だね」という。すべてが昔のままとはいかないが、貸し借りの管理は紙一枚、漫画の後ろに借りた人の苗字が書いてあるだけの人情営業は、これからも変わらないでほしいと願う。
今回の旅ではこのお店がマイ・ベスト・オブ・ノスタルジアだった。

貸し出しは元浜町と武庫川町の住民限定。旅人が借りられないのは残念。

「ドラゴンボール」第1巻の読者数は131人。この本こそが元浜町の旅人かも。

トタン張りのタバコ屋さん。壁に直接「たばこ」と描かれている所がシブい。

セオ運輸社員寮その名も「安全寮」。下はトラックの駐車場だろうか、えらく高いピロティとなっている。



旅人が(独断で)つけた通信簿
歴史好き…というよりレトロという意味で満点。「元浜緑地公園」の「わんぱく池」は、夏の時期は特に賑わう。公園は緑豊かで風も涼しいオアシスだ。
尼の旅人:出口寛子(でぐちひろこ)
山口県出身。武庫川女子大学生活環境学部生活環境学科助手。